2023.7.9HPコラム“一粒の麦”
7/9:三位一体後第五主日宣教「主に会って変えられる」 使徒言行録9:1~9
眞柄光久 牧師
・今日の宣教個所の小見出しは「サウロの回心」となっているので、サウロが主役のように思いがちですが、本当の主役は“聖霊”です。キリストをメシアと信じる人たちを迫害し、捕縛もしたに違いない超保守派のユダヤ教徒の若者“サウロ”に、聖霊がどのように働いて、回心にまで導いたかが述べられています。
・ここまでの章を読んできますと、ルカという人は,読者を実に巧みに誘い込み、興味を持たせ続けるのがなんてうまいのだろうと感心させられます。
・どういうことかと言いますと、それまで一度も出てこなかった“サウロ”という名前を、まず、7章の58節のところで、「自分の着ている物をサウロという若者の足もとに置いた」と、“サウロ”の名前をさりげなく出すのです。なじみのない名前なので、読者には唐突に思えるのですが、これは、物語に興味を持たせ続けるための伏線として使われているのです。そしてまた、8章の3節にも”サウロ“の名前をはさんでおきます。
・その後、一旦、”サウロ“の名を遠ざけ、サマリアでのフィリポ、ペトロ、ヨハネの活躍を描き、”サウロ“はどこへいったのだろうと思わせておき、9章に入ると、満を期したと言う感じで、ばーんと”サウロ“の名を前面に押し出してくるのです。
・文章の巧者と言うのはこのような人のことをいうのだなと、2,000年前にこの「使徒言行録」を読んだテオフィロ閣下も同じような感慨を持たれたのではないかと思うのです。でも、真の巧者はあくまで聖霊であることをお忘れなきように。
眞柄光久 牧師
7/16:三位一体後第六主日宣教「福音の本質と日本質」 使徒言行録11:1~18
眞柄光久 牧師